プロとアマの違い

調理師用と家庭用の包丁の違い

調理師が仕事で使う包丁と、一般家庭でよく使われるものとではどのような差があるのでしょうか。まず、調理師になるには、調理学校などに入校して試験なしでなる方法と、割烹料亭や飲食店などに就職して2年以上の修行を積みながら自分で免許の資格試験のための勉強を独学で行い試験を受ける方法があります。そうすると調理師学校で包丁も購入するよう勧められます。一般の家庭で使われるものはステンレス製の錆びにくくゆがみにくい、道具としてはとても使いやすいものが多いですが、調理学校や養成所で購入を勧められるものは基本的に全鋼のものが多いです。ステンレスと比べて錆びがつきやすい材質の包丁を選ぶのはなぜでしょうか。それは、全鋼のほうがステンレスより化学反応が早いという意味でもあります。少しでも食材を切ったあとそのまま洗わずに放置しておくと、全鋼のものは錆びとまではいかないにしても、灰汁や脂に反応してすぐ刃が変色してきます。つまりきちんと衛生的に包丁を洗っているか、定期的に砥いだり手入れをしているかどうかが一目見ればわかるのです。生徒に衛生指導をしたり、商売道具の管理をする習慣をきちんと身につけさせるために、養成所では一般によく使われているステンレスではなく全鋼のタイプを購入するよう勧めます。
飲食店でも自分用の包丁を持つよう勧められます。なぜなら自分の包丁をほかの人に使われることを嫌がる板前も多く、自分の道具は自分で手入れして店の厨房に置かずに毎日家に持ち帰るのが習慣になっている店舗も多いからです。板前ならば全鋼で作られた本鋳造のものをそろえます。全鋼の刃は変色しやすい以外にも硬いため折れやすいという欠点もあり、板前であっても取り扱いには注意が必要です。価格も職人向けは一丁が数万円もするものも多く、本格的な懐石料理などを作るには数種類もの包丁を準備する必要があります。それで道具に対する思い入れが強くなり、他者の利用や管理に神経質になりやすいのです。
もし知らずに他の人の包丁を使ってしまったらすぐに謝罪しきれいに洗って拭いて返しましょう。洗っても落ちないほどに変色してしまったらクレンザーで磨くか、砥石で砥ぎなおすなら元に戻ります。しかしきちんと管理し衛生的に使うなら、砥ぎすぎてすり減ってしまうこともなく、10年以上たっても買った当初と変わらない切れ味と形状を保ちます。全鋼本鋳造刃特有の美しさも保てるので、お客さんに見えるところで調理する調理師さん向けでもあります。

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